株式会社三菱総合研究所

インパクト起業家ストーリーMay 19, 2022#10 たくさんの”ひとり”の「環境アクション」が世界を変える。「地球のために何ができるか?」を行動に変えるアプリ「ワットストア」(株式会社チェンジ・ザ・ワールド)

株式会社チェンジ・ザ・ワールド 取締役 CFO 前田 恵一 氏

東日本大震災から11年。地球温暖化もあいまって、原子力にかわる再生可能エネルギーにますます注目が集まっています。社会的意義の追求と経済合理性の両立を合言葉に、個人がスマホから簡単に再エネ発電所のオーナーになれるアプリを提供する、株式会社チェンジ・ザ・ワールドの取締役 CFOの前田恵一氏にお話を伺いました。

―株式会社チェンジ・ザ・ワールドの事業内容を教えてください。

グリーンエネルギーの発展にみんなが参加できる社会を創ろうと、再生可能エネルギー関連の事業を行っています。主な事業は、個人がスマホから再エネ発電所を買えるアプリ「ワットストア」の提供です。ユーザー数も伸びてきて2万人を超えました。

株式会社チェンジ・ザ・ワールド_前田様
株式会社チェンジ・ザ・ワールド
取締役 CFO 前田 恵一 氏

―「スマホから再エネ発電所を買える」とは?

「ワットストア」というアプリを使うとスマホから簡単に太陽光発電所や風力発電所などの再エネ発電所のオーナーになれるというものです。1ワット約300円から簡単に購入できます。購入した再エネ発電所の発電量はサイトやアプリからいつでも確認でき、購入後は月に1度、売電収入が分配されます。大きな資金がなくても個人が再エネ普及に参加できる仕組みです。

―起業の経緯を教えてください。

弊社は代表取締役の池田友喜が2014年2月に立ち上げた会社です。池田は山形県酒田市の出身で、企業向け業務システムの開発事業をしていたのですが、東日本大震災をきっかけに、次世代への大きな危機感を持ち、再エネをもっと普及させていかなければと思い立ってチェンジ・ザ・ワールドを設立したというのが簡単な経緯です。

もともと池田と私は社長友達でした。私は若手人材ビジネス教養塾と、ベンチャー企業に特化したエージェント業をしており、池田と一緒に飲みながら東日本大地震の体験や太陽光発電の話を聞く機会が何度かありました。

池田は耕作放棄地を農地に再生させて行う「ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電所)」、つまり農業と太陽光発電の両立にこだわっていて、そのあたりの経済合理性の追求や課題に取り組むことに、私も「いいな」と感じていました。

―CFOとして前田さんが株式会社チェンジ・ザ・ワールドへ参画したきっかけは何だったのでしょうか?

諸事情で地方に1年滞在する機会があったのですが、何もやることがなくて新聞やニュースばかり見て過ごしていたんです。当時の話題のほとんどが脱炭素に関するもので、たとえばオーストラリアやアメリカでRE100(※1)やCDP(※2)などの流れが強くなってきているのを見て、「東京に戻ったらこういう仕事にかかわりたいな」と思いました。「そういえば飲み友達の池田がそういう話をしていたな」と。

―事業に取り組むうえでの社会的な背景を教えてください。

みなさんもご存知の通り、人類によって地球の温暖化が引き起こされているのは明らかです。2050年までにカーボンニュートラルを実現するという目標を日本が立てている中で、さらに国際的にもRE100や炭素税(※3)の導入といった流れがあります。

環境対応しないことで、たとえば投資家や取引先から見放されたり経済合理性が担保できなかったりといった時代へ、日本も着実に進みつつあります。法人にとって環境対応は財務会計と同格程度の重要な業務になる可能性が高いと見ています。

このような中、弊社はユーザーにとっての「環境貢献」と「投資」の両側面を満たすものを個人に訴求できないかと考えました。

―法人ではなく個人へ訴求する理由は何でしょうか?

法人へ訴求するほうが当然事業インパクトも大きくはありますが、漫画にあった”元気玉”のイメージで、いろいろな層からのエネルギーを集めて大きな力にしていきたいなと。債権の調達にせよ株にせよ、不特定多数の方々からの集約は非常に大きい力を持つことを信じ、この仕組みに邁進しています。

change

―個人へ訴求するうえでこだわっているところを教えてください。

スマホから簡単に利用できることや、1ワット約300円から買えることなど、再エネ発電所というものの流動性を徹底的に高める観点からサービスを展開しています。

また、我々が再エネ発電所を通じていかに環境負荷を下げていきたいかを訴え続けている中で、最近では投資としての側面のほか、個人が環境に対してどうアクションできるかへのニーズが高まってきています。

そこへ応じるものとして、環境負荷を減らす行動である”環境アクション”を促進するウェブ上のアプリサービス「change」も立ち上げました。個人がどれだけ二酸化炭素を排出しているかを計測して環境アクションにつなげられる環境アクションプラットフォームです。環境アクションを行うと「Jクレジット」(※4)と紐づいた環境価値がもらえる仕組みです。

―社会的な反応や手応えはいかがでしょうか。

新聞各社や業界誌には以前から少しずつ取り上げていただいております。最近はNHKやBSテレビ東京の日経スペシャル「マネーのまなび」といったテレビメディアにも取り上げられ、少しずつ弊社のサービスの認知が広がりつつあると感じています。脱炭素をどう進めればいいかというところで法人からの需要もあり、コンサルティングサービスである「CHANGE for Biz」事業をはじめ、カーボンオフセットや再エネ導入に関する問い合わせをいただいております。

ただ、一般認知度がまだまだ低いので、今年は認知度の向上を目指していきたいです。社会課題に対する我々の主流な訴求先は個人ですから、参加のハードルをどこまで下げられるかですね。

―現在の組織体制について教えてください。

代表の池田と取締役CTOの玉置龍範が二人三脚で創り上げてきたところへ、2021年に私と、取締役で管理本部長の穂積隆道が管理側の立場として入りました。社員は現在54名。太陽光の開発仕入れは営業本部が行っています。「ワットストア」のシステムはゼロからIT戦略本部のエンジニアが構築しています。

―掲げているビジョンはどのようなものでしょうか?

社名の通り、地球温暖化および社会課題に対していかに”チェンジ・ザ・ワールド”できるかです。そこへ本気で取り組むメンバーが揃っています。経済合理性の追求は当然主要なものですが、いかに社会的意義があるかという社会性を極めて大事にしたい。グリーンエネルギーの発展に対して社名通りのことができているか、私も常に自分の肝に銘じながら意思決定を行っています。

※1「RE100」…Renewable Energy 100%の略で、事業活動で生じる電力を再生可能エネルギーで100%賄うことを目指す取り組み。
※2「CDP」…Carbon Disclosure Projectの略で、企業や自治体の活動による環境への影響を情報開示するプラットフォームである、イギリスの非営利団体の名称。
※3「炭素税」…化石燃料や電気の使用によって生じる二酸化炭素排出量に応じて課される税金。環境税の一つ。
※4「Jクレジット」…温室効果ガスの排出削減量や吸収量を国がクレジットとして認証する、CO2削減プロジェクトの排出権。

社名:株式会社チェンジ・ザ・ワールド
創立:2014年2月
従業員数:54名
主な事業内容:CHANGE for Biz事業(企業の再エネ100%転換支援)、ワットストア事業(スマホで買える再エネ発電所)、change事業(環境アクションプラットフォーム)、ソーラーシェアリング事業、SOLA VEGE(ソラベジ)事業
URL:https://ctws.jp
主な受賞歴:
*TOHOKUGROWTHAccelerator(東北グロースアクセラレーター)採択企業
*経済産業省J-StartupTOHOKU選定企業
*環境省グッドライフアワード実行委員会特別賞サステナブルデザイン賞受賞
*X-TechInnovation2021(クロステックイノベーション2021)東北地区最終選考会優秀賞受賞
*日本経済新聞社主催第3回スタ★アトピッチJapan決勝大会野村ホールディングス賞受賞
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本稿は、ICF会員として、社会課題解決のために共に活動するベンチャー企業を紹介するシリーズ記事です。

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