MRI Activities
株式会社三菱総合研究所 未来共創本部 八巻心太郎
MRIは今、社会課題解決型シンクタンクとしての取り組みを始めています。
優れたスタートアップと共創することで、社会課題解決策を実装。そこから新たな課題が生まれ、それらに基づき研究・提言し、政策・事業立案につなげる。これが、社会課題解決企業としてのバリューチェーンであると考えます。
本セッションでは、スタートアップとの共創パターンとして、3つ取り上げます。
1つ目は、MRIが事業主体となり、スタートアップとビジネスを構築するパターン(事例:LocationMind、ForePaaS)。
2つ目は、スタートアップのサービスをユーザーとして実際に活用してフィードバック、サービスを向上させるパターン(事例:アクティベートラボ)。
そして3つ目は、支援者を支援するパターン。プロモーターとしてエコシステムの構築を支援する取り組みについて、ご紹介します。
LocationMind社との協業
~位置情報で世の中をデジタルツイン化!~
LocationMind株式会社 桐谷直毅 氏
株式会社三菱総合研究所 スマート・リージョン本部 中條覚
中條:私は都市やモビリティに携わっており、以前から位置情報の重要性に着目していました。しかし、技術発展のスピードが速く、社内で抱えるのは難しいと感じていたのです。
そこへ、LocationMind立ち上げの話を知り、出資を願い出ました。
桐谷:LocationMindは、東京大学 柴崎亮介教授の研究室がまるごとベンチャーになった、東大初のディープテックです。人流AIと衛星セキュリティ、2つの事業を展開しています。創業から4年、累積資金調達額15.6億円という若い企業です。
人流と聞くと、新型コロナを連想されると思いますが、まさにそれを行っていました。人が動くと感染が拡大するのではないか。経済的ダメージをどれだけ受けるか。タッグを組んで人流分析を行いました。人流は、大規模なテーマを扱うことが多く、難度の高い事業です。今後も、最先端市場をともに開拓し続けたいと思っております。
中條:このような取り組みを、単なる研究開発で終わらせないよう心がけています。
都市やモビリティの分野では、交通調査など、定期的な調査を行います。その一部に、我々の活動をうまく組み込み、基盤の一部を担えるよう、試行錯誤しているところです。
今後は、他のさまざまな人たちとも連携し、さらに先へ進みたい。都市やモビリティにとじない領域や海外にも目を向けてチャレンジしたいと思っています。
海外スタートアップとの協業
~データ理活用プラットフォーム ForePaaS~
株式会社三菱総合研究所 金融DX本部 天野厳斗
ForePaaS社は、データ利活用プラットフォーム『ForePaaS』を提供する、フランスのスタートアップです。データの利活用によって得られた知見を業務に適用するプロセスの全てが、ForePaaSに集約されています。
ここで、竹中工務店様の活用事例をご紹介します。
わずか1ヶ月で、弊社の建物OS『ビルコミ』と『ForePaaS』をAPI連携して可視化。センサーで取得した値を3D空間に表示するアプリケーションを構築しています。
さまざまな業界の方とForePaaSを介して連携し、新しい事業を展開したいと考えています。
続いて、ForePaaS社CEO ポール・シナイ氏からのメッセージをご紹介いたします。
MRIとは2021年にパートナーシップを結びました。
時差があり会社の規模も違いましたが、共に計画を作り、新規顧客の獲得に成功しました。
パートナーシップを拡大し、常に製品を改良していきます。
日本で皆さんとお会いできることを楽しみにしています。
今後は、業務の課題解決だけでなく、社会課題解決という視点から、温室効果ガス排出のマネジメントにもForePaaSを適用していきたいと考えています。また、このForePaaS社との取り組みは、欧州最大のクラウドプロバイダーOVHcloud社との協業に発展しています。エコで信頼性の高いクラウドの日本導入を進めてまいります。
スタートアップと連携した健康経営、D&I
株式会社アクティベートラボ 代表取締役 増本裕司 氏
株式会社三菱総合研究所 人事部長 吉池由美子
吉池:MRIはスタートアップと連携し、健康経営とダイバーシティ&インクルージョン(D&I)に取り組んでいます。
健康経営としては、がんと認知症の早期発見に取り組んでいます。がんの早期発見については、HIROTSUバイオサイエンス社のN-NOSEを活用しています。嗅覚に優れた線虫がガンの匂いに反応するもので、早期がんにも反応すると言われています。認知症では、MIG社が提供する認知症早期発見のためのVR検査を活用しています。どちらも希望する社員が受けられるようにしました。
また、障害者雇用についても、アクティベートラボ社と協力して進めています。
我々はD&Iを、社会的な企業責任を果たすだけでなく、競争力の源泉にしたいと考えています。障害者雇用のために必要なのは、就業環境とオフィスの整備だけではありません。障害者一人ひとりの特性や求められる合理的配慮について、アクティベートラボ社から翻訳して説明してもらい、配属部署や業務内容を決めるプロセスをとっています。
増本:私は2009年に脳出血で倒れました。そこから試行錯誤して、2015年に起業。「障害者の働くに関わる事業」と「障害者のQOLに関わる事業」を行っています。
障害者の働くに関わる事業では、MRIに伴走いただき、わずか1年間で11名の障害者就労が実現しました。これはすごいことです。
ところで、事業というのは年度で区切られますが、障害者は年度で状況が変わるわけではありません。閉ざさず、途切らさず、常に障害者雇用の支援、エコシステムの構築について一緒に取り組んでいただきたいと思っております。
ライフサイエンス分野のスタートアップ支援とスタートアップ支援者エコシステム
株式会社三菱総合研究所 ヘルスケア&ウェルネス本部 山口将太
ライフサイエンス分野におけるスタートアップ支援について、国の委託事業などを通じた取り組み、そしてこれからスタートする独自の取り組みについてご紹介します。
まずは、厚生労働省の医療系ベンチャートータルサポート事業、通称MEDISOの紹介から。これは、薬機法への対応、資金調達から知財戦略まで、医療系ベンチャーに必要な支援をワンストップで提供するサービスです。支援スキームの設計から携わり、2018年の開設から5年間で1000件を超える相談を支援してきました。また、MEDISO関連イベントとして開催されるジャパン・ヘルスケア・ベンチャーサミット&シンポジウムの企画を通して、様々なプレーヤーが交流する場を作っています。
もう一つ、InnoHubという経済産業省の事業を紹介します。これは、健康やウェルネス領域のスタートアップの事業展開支援や企業同士をつなぐネットワーク支援を行うものです。当社が事務局として支援を開始してから2年で約200件の相談を受けています。また関連事業として、日本最大級のヘルスケア系のビジネスコンテストである、ジャパン・ヘルスケア・ビジネスコンテストを企画・運営し、ヘルスケア領域のイノベーティブなスタートアップの発掘をお手伝いしてきました。
MRIはスタートアップに対する直接的な支援は継続しつつ、今後は「スタートアップを支援する支援者・組織」を支援する、プロモーターとしての取り組みを積極的に展開します。その一例として、2023年2月に、LINK-J様とCIC Tokyo様、そして我々MRIの3社で東京都の創薬・医療系スタートアップ育成支援事業「Blockbuster TOKYO」のエコシステム形成支援者(プロモーター)として活動を開始しました。これまで培ってきたリソースやノウハウを繋げ、グローバルレベルのスタートアップ創出するエコシステムを作っていきます。皆様にもぜひこの活動に参加いただき、ライフサイエンススタートアップエコシステムを一緒に盛り上げていきましょう。
- MRI Activities動画
※本サイトに掲載された情報を下記で使用することを禁止します
複製、改変、アップロード、掲示、送信、頒布、ライセンス、販売、出版等
本件に関するお問い合わせ
(株)三菱総合研究所 未来共創イニシアティブ MRI DEMO DAY 2023事務局 担当:八巻・加藤
E-mail:mri_demoday2023@ml.mri.co.jp