株式会社三菱総合研究所

April 14, 2023MRI DEMO DAY 2023イベントレポート(Keynote Speech)

Keynote Speech

スタートアップエコシステムの新潮流
~社会課題解決企業の役割~

各務茂夫 氏
東京大学大学院 工学系研究科 技術経営戦略学専攻 教授
一般社団法人日本ベンチャー学会会長
ICFアドバイザー

  
東京大学 各務氏

私はもともと、経営コンサルティングのバックグランドを持っております。26歳の時、外資系の会社にいたところから、日本で戦略系のコンサルティング会社を立ち上げました。

2002年からは東京大学におりまして、あっという間に20年以上が経ちました。東大エッジキャピタル(現 東大エッジキャピタルパートナーズ)でトータル850億円のファンドがこれまで運用され、約150社の東大発スタートアップ等に投資がなされました。東大関連スタートアップ企業も既に約500社になります。また、篤志家にご支援いただき、学内にインキュベーション施設を作るといった、実務的な仕事もしました。2005年には「東大アントレプレナー道場」を立ち上げ、ここから百数十名の卒業生が起業しています。

社会課題の解決と聞いて、私が最初に思うのは、宇井吉美さんという女性起業家です。
宇井さんは、千葉工業大学在学中に、介護者を支援する排泄検知シート 「Lifilm(リフィルム)」を開発。株式会社abaを立ち上げました。
開発のきっかけとなったのは、宇井さんのお祖母様が要介護者となられたこと。介護のような社会課題を解決しようとする際、「経済的価値とのトレードオフ」といった考え方をされるかもしれません。しかし、今では社会的インパクトが大きければビジネスとしても成立するという認識に変わってきました。
abaは累計12億円を資金調達。Lifilmは「Helppad」という名称で、パラマウントベッドをはじめとする多くの企業と連携しています。
社会的価値が経済的価値と結びつくような流れが、生まれつつあるのでしょう。

もう1人ご紹介したいのが、株式会社ユーグレナの出雲充さんです。
出雲さんは学生時代、バングラデシュに行き、ある光景を目にします。現地の人は予想に反して空腹に悩んではいませんでした。毎日カレーをお腹いっぱい食べている。しかし、その中に、野菜や肉が入っていない。つまり、飢餓ではなく栄養失調という問題を抱えていたのです。この問題を解決したいと考えた出雲さんは、ミドリムシの栄養価が非常に高いことに目をつけます。
当時、不可能と言われていたミドリムシの培養に成功し、2015年には屋外での大量培養を実現。サプリメントやクッキーなど、さまざまな商品を展開しています。
また、ミドリムシを使ったバイオ燃料の開発にも取り組み、昨年、民間航空機を使った実証実験において、安全性が立証されました。食料問題の解決と同時に、エネルギー問題の解決にも取り組んでいるのです。

さてここで、アントレプレナーシップとはそもそも何か、ということに立ち返りたいと思います。
社会問題解決を、いかに経済的価値、社会的価に結びつけていくか。これが、アントレプレナー(社会起業家)の姿ではないでしょうか。
MRIの小宮山理事長は「日本は課題先進国である」と話しています。高齢化の問題も含め、さまざまな課題に真っ先に直面する国なのだと。
これは、我が国が「課題解決先進国」となるポテンシャルを有しているとも言えるでしょう。
それぞれの社会問題に対してエッジを効かせて取り組んでいくことが、今、求められています。
社会的価値を追求することで、ステークホルダーからの支持を得られ、また、経済的価値にも結びつく時代になってきました。まさに、社会課題起業家の皆さんの時代が来たということです。
ぜひ、自分は課題解決の当事者であるとイメージして進んでください。私も、その当事者の1人として進んでいきたいと思っています。

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本件に関するお問い合わせ

(株)三菱総合研究所 未来共創イニシアティブ MRI DEMO DAY 2023事務局 担当:八巻・加藤
E-mail:mri_demoday2023@ml.mri.co.jp

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