株式会社三菱総合研究所

総会・セミナーMarch 14, 2025ICF共創活動報告会 開催報告

2025年2月19日に、ICF会員の皆さまに2024年度の共創活動を報告する「ICF共創活動報告会」を、初めて大阪で開催(ハイブリッド形式)しました。

当日は、会場(立命館大学ROOT)とオンラインを合わせて約70名の方にご参加いただき、盛会となりました。

まず、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会より、万博の概要とビジネスの視点から4つの見どころをご紹介いただきました。その後、ICF事務局より、3月に発行予定の「社会課題リスト2025」の改訂ポイントを説明しました。さらに、2024年度に実施した12件の共創活動の成果や進捗状況、来年度の取組について報告しました。ICF事務局からの報告に加え、ICF会員5社の代表者の方々にもご登壇いただきました。

また、関西地域での会員ネットワークの促進を目的として、関西で活躍されている4社・団体の代表者にもご登壇いただきました。最後に、ICF事務局より、2025年度共創活動への参画を呼びかけました。

ICF会員限定で当日のアーカイブ動画・資料をご案内しております。こちらからご覧ください。

公益社団法人2025年日本国際博覧会協会 今野 水己 氏

万博の概要とビジネスの視点から4つの万博の見どころを紹介。

  • パビリオン:公式参加国は現在、158国、7国際機関が参加を表明。各国がオリジナルなパビリオンを建設するタイプAは47か国予定されており、ユニークなデザインの建物、各国の産業・技術、グルメ、音楽などを体験できます。また、13の民間企業のパビリオンや、循環をテーマにした日本館、REBORNをテーマにした大阪ヘルスケアパビリオン、関西広域連合による関西パビリオンもあります。パビリオン詳細は大阪・関西万博のホームページから確認できます。
  • テーマ事業「シグネチャープロジェクト」:いのちをテーマにした8つのパビリオン。8名のプロデューサーがそれぞれのコンセプトに基づき、独創的なイベント・展示を行います。
  • 未来ショーケース事業:さまざまな企業・団体が開発した未来社会を支える最新の技術やサービスが展示、発信されます。排気ガスを出さない来場者移動EVバス、水素燃料による会場アクセス船、空飛ぶクルマ、グリーン万博(カーボンリサイクル技術の実証、ペロブスカイト太陽電池)、フューチャーライフ万博(未来の都市)など。
  • イベント:日替わりでさまざまなイベントを実施します。東北絆まつり、徳島の阿波おどり、毎年パリで開催されている「Japan Expo」を逆輸入するイベント、超歌舞伎をテーマにしたイベント、花火大会、大相撲など。また、エンタメ以外にもスタートアップ企業の発信、政府主催の共創イベント、公式参加国が行うイベント(ナショナルデー)も開催されます。ビジネス視点では、テーマウィークで定めたテーマに基づいて、課題解決のための商談・交流会も開催されます。

大阪・関西万博の会場全体が社会課題解決に向けた共創の場となります。よりよい未来社会の姿を創り出していただくことを期待しています。

万博に関するICFの取組紹介

ICF事務局 奥野 翔子

万博に関するICFの取組を2点紹介。

  • 万博の認知・関心・来場意向に関する定点調査を実施しています。関心・来場意向は伸び悩んでいるものの、リピート意向は上昇しています。
  • 内閣官房の教育事業「EXPOスクールキャラバン」に参画しています。山形県の県立高校で、リートンテクノロジージャパンと共同開発したAIアシスタントと対話しながら社会課題を探索するワークショップ型授業を実施しました。

ICF事務局 八巻 心太郎

社会課題リスト2025を3月に発行予定です。従来の6領域を「エネルギー・環境」「食農」「モビリティ」「レジリエンス」「ウェルネス」「教育・人材育成」に再編し、「DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)」を新たな課題領域として新設しました。

また、「未来の社会課題」についても検討、言及しました。SFプロトタイピングの方法論を取り入れたワークショップを実施し、情報通信技術・生成AIがもたらす新たな社会課題を取り上げたコラムを掲載しました。

<カーボンクレジット>

ICF事務局 中村 京春

社会課題リスト「エネルギー・環境」セクターにおける重点課題として、「需要側にも省エネ・脱炭素の余地大」を上げています。その長期的な選択肢の一つとして考えられるカーボンオフセットを実現するカーボンクレジットに着目しました。カーボンクレジットに関わるルール形成への働きかけ、CO2除去技術のイノベーション促進とクレジット利活用などの社会的インパクトの創出を目指します。

今年度は、4つのテーマ(ビジネス視点、需要視点、供給視点、仲介視点)を設定し、計3回のワークショップを実施しました。

次年度は、エコシステムによるルール形成への働きかけや、需要家相互の情報交換や試行的な取り組みができるコミュニティの組成を目指します。

<核融合>

ICF事務局 中村 京春

社会課題リスト「エネルギー・環境」セクターにおける重点課題として、「エネルギー供給側の脱炭素の加速」を上げています。昨今、スタートアップ投資が盛り上がってきており、かつ実用化した際のインパクトが大きい核融合に着目しました。

今年度は、オンライン座談会を実施しました。国内の実証炉・原型炉プロジェクトや海外スタートアップの動きなど、核融合実現に向けた国内外の動向を紹介しました。また、京都フュージョニアリングにも登壇いただき、世界の潮流を踏まえた現在地点や課題、今後の方向性などについてディスカッションしました。ディスカッションでは既に世界中でサプライチェーン構築のおける競争が始まっていることにも言及がありました。

今後、ICFでは核融合の市場形成に備える勉強会などを実施し、ICF会員の核融合産業への参入をサポートしていきます。

<PHRを活用して健康経営をサポート>

株式会社ノビアス 井上 史之 氏 / ICF事務局 八巻 心太郎

健康経営に資する多様なサービスをパッケージ化し、企業に合わせたサービス提供を行えるように実証を進めています。

今回、MRIの健康イベントにおいて170人以上のデータを取得し、毛髪ミネラル値から高血圧の検知が可能かどうかを検証。注目していなかった塩素が関与している可能性が見られました。

今後、さらに生活習慣病予備軍の行動変容への影響を検証し、企業向けの健康経営施策に資するサービスとしての有用性を検討していきます。

<在宅介護の取組~仕事と介護の両立にむけて~>

株式会社NTTデータ 谷口 祐美

社会課題解決に取り組むソーシャルデザイン推進室を2020年に発足しました。

仕事と介護の両立に向けた取組として、ビジネスケアラーを支えるサービスを共創し、企業経由で新たなサービスをビジネスケアラーに提供することを構想しています。2025年10月の事業開始を目指し6社と共同検討を進めています。

今後も共創を通じ、社会インパクトを与える活動を戦略的に展開し、新たな市場創出を目指します。

<産学連携による女性向けリカレント教育>

パーソルテンプスタッフ株式会社 立山 正道 氏 / ICF事務局 濱田 美来

女性のライフキャリアにおける課題解決を目指し、椙山女学園大学・パーソルテンプスタッフ・カランドリエ・MRIが共同で、「産学連携による女性向けリカレント講座」を実証実験として実施しました。パーソルテンプスタッフは、労働不足を解消するための取組として参画し、就労支援をする役割を担っています。

受講後、参加者には再就職への意欲の向上、キャリアアップを目指すマインドの醸成などの効果がみられました。

今後、受講者が活躍する場づくり、スキルアッププログラムの充実、同様の課題意識をもつ地域や教育機関への水平展開を進めていきます。

<博士人材活躍に向けて>

株式会社tayo 熊谷 洋平 氏 / ICF事務局 水嶋 高正

日本のイノベーション能力の向上を目指し、ディープテックベンチャー等へ人材紹介を含む総合サポートを実施しています。

今回、社会課題リスト2025制作を題材に、研究者への業務アウトソーシングを試行しました。その結果、研究者は、専門家とのネットワークの広さやアクセスするスピード、指示内容を理解する能力が優れていると感じました。

今回のPoCに基づき、研究者による事業サポートをサービスメニューに加えました。研究者活用に興味あるICF会員との共創を図っていきます。

<AIレコメンドを活用した共創事例>

株式会社New Ordinary 小林 文哉 氏 / 三菱総合研究所 小泉 洋平

AIが利用者の好みとその時の気分を分析して、目的地と移動手段を提案するサービス「NOSPOT」を開発・提供しています。東武鉄道との実証ではウェルビーイング効果を検証し、MRIと共同で特許を登録。南海電気鉄道との実証では、大阪広域データ連携基盤(ORDEN)のイベントデータを活用。MRIと共同でインバウンド向けAIレコメンドエンジンも開発しました。

また、 Tourism Exchange Japanのオンライン予約決済プラットフォームと連携し、「NOSPOT」でレコメンドされたものをその場で予約決済できるサービスを奈良県で実施中。最適化された情報提供により、観光による地方創生を目指しています。

今後は観光以外の様々な分野でのAIレコメンドのユースケースをICF会員と作っていくことを目指します。

<バーチャル避難訓練>

ICF事務局 亀井 則夫

PCやスマホからリモートで多人数が同時に避難訓練を行うことができるツールをジオクリエイツと日建設計が共同開発しました。

ICFではバーチャル避難訓練の有効性と課題を把握することを目的に、MRI本社ビルにてバーチャル避難訓練を2回試行。これまでリアルの避難訓練に参加できていなかった社員が避難経路や建物の構造を理解することにつながりました。

今後も新たなバーチャル避難訓練市場創出に向けた共創活動を継続していきます。

<人間拡張・バーチャルエコノミー>

ICF事務局 水嶋 高正

ICFでは「テクノロジー起点」での社会課題解決への取組を開始しました。

人間拡張・バーチャルエコノミー領域での取組を実施。Moguraによる特別ウェビナー「XRがもたらす社会変革」とスタートアップの技術シーズを基軸にしたワークショップを開催しました。社会課題をテクノロジー起点で考えることで課題や解決策の解像度が上がると感じました。

今後、具体的な技術・サービスの理解を深める、解決したい課題のスコープを設定するなど、引き続き、手法を精査しながら、技術シーズの社会課題解決への活用を検討していきます。

<ロボット・AI

ICF事務局 山田 賢杜

ロボットが様々な領域の社会課題を解決する重要な技術と考え、AIと融合する特化型ロボットに注目しています。

第1弾として、2/27、28にロボット活用(街づくり&農業)をテーマにしたオンライン座談会を開催します。

来年度から、ロボット・AIの取組を本格化していきます。

<パブリックアフェアーズ>

ICF事務局 笠田 伸樹

社会課題解決に向けた新市場創出を目指してパブリックアフェアーズ(PA)をテーマにワークショップを開催しています。

PA活動を通して、自社を取り巻く「政策の背景を正しく理解」することで、ビジネスにおける「予見力」が高まり、経営判断の精度向上に繋がります。また、変えることはできない、変えることが難しいと思われてた外部環境を内部環境に転換することで、戦略の幅の拡大が期待できます。

上半期は2回のキックオフイベントを開催。下半期は、ICF会員5社の参加を得て、PAワークショップ(全4回)を実施中。成果物として、PAガイドラインを作成する予定です。

<ICFオンライン座談会>

ICF事務局 石田 晴香

現在までに計4回のオンライン座談会を開催。ICFがこれまでに取り扱ってこなかったテーマや今後市場が広がると予想される分野を取り上げ、これに関連する企業の取組を紹介。その後、登壇者と会員とのフリーディスカッションや質疑応答を行っています。

反響が高いテーマについてはワークショップなどリアルなイベントを予定。今後も様々なテーマで座談会を開催していきます。テーマや登壇企業は随時募集中!

学校法人立命館/立命館大学 三宅 雅人

2024年4月に映像学部と情報理工学部を大阪いばらきキャンパスへ移転。「ソーシャルコネクティッド・キャンパス構想」を掲げ、社会共生価値の創造、イノベーション人材・創発性人材の輩出に向けた取組を実施しています。

例えば、マイクロソフトとの連携協定のもと、全国の教育機関初「Microsoft Base」をキャンパスに設置しています。また、アドビとの連携協定においては、立命館大学および立命館アジア太平洋大学のすべての学生がAdobe Expressを利用できる環境を構築し、多様な機会を通じ学生たちのスキル獲得に向けた取組を進めています。茨木市をはじめ、自治体との連携も進めています。

社会共創推進本部では、企業が抱える社会課題を学生に投げかけ課題解決を図る共創コミュニティ「RINC」を運営しています。先進的な大学施設を活用しながら共創プロジェクトが複数進行しています。今後は、ICF会員の皆様との共創活動が広がることを楽しみにしています。

株式会社島津製作所 岩切 省吾郎 氏

2025年2月にICFに新規入会。「科学技術で社会に貢献する」を社是とし、今年、創業150周年を迎えます。注力分野は、ヘルスケア、グリーン、マテリアル、インダストリー。ICFの6分野にもつながります。

新しい技術開発にも取り組んでいます。ICFへの参画により、ICF会員との共創を進め、当社の技術を社会課題解決やサステナブルな社会の実現に活用していきたいと思います。

積水ハウス株式会社 彌重 功 氏

昨年、東京にオープンイノベーション施設「InnoCom Square(イノコム・スクエア)」を開設。多様な人とのコミュニケーションで未来のイノベーションが生まれる場にすることを目指しています。

グローバルビジョン『「わが家」を世界一幸せな場所にする』に基づき、ハード・ソフト・サービスを融合した幸せ住まいの提案に向けた研究に取り組んでいます。また、全国(5ヶ所)にライフスタイル体験型のモデルハウス「Tomorrow’s Life Museum」を建設するなど、生活者視点でWell‐beingにつながる住まいと暮らし方を提案しています。

社会課題の解決に向け、住まいや暮らしに関係するICF会員の皆さまとのコラボレーションを目指していきたいと思います。

NTT西日本 宮永 峻資 氏

ウェルビーイングが実感できる社会を実現することを目的に、オープンイノベーション施設「QUINTBRIDGE(クイントブリッジ)」を運営しています。企業・スタートアップ・自治体・大学などが自由に交流し、それぞれの思いやアセットを共有しながら共創を進める場となっています。現在、延べ利用者数22万人、イベントを年間400回以上開催。約2年半で会員同士の共創実績は66件、NTT西日本との共創プロジェクトは22件が動いています。

事業共創に興味のある方は、是非お越しください!
https://www.quintbridge.jp

ICF事務局 藤本 敦也

  • 社会課題解決に向けたコレクティブインパクト創出に邁進
    – 基本活動の継続と進化
    – 技術/シーズから社会課題解決を捉える・考える
    – 社会課題解決の「実験場」化
  • コアとなる3つ具体活動
    – 社会課題リスト2025のお披露目と活用
    – 事業共創活動と、その先にある社会インパクトの検討
    – コミュニティ活動の拡大

皆さまのご参画お待ちしております!

報告会終了後には、会場参加者による交流会を行いました。参加者同士の活発な意見交換、ネットワーキングが行われ、盛会のうちに終了しました。

ICF事務局では、ICF会員の皆様の交流活発化と社会的インパクトの創出を目指し、リアルでのイベントを随時実施しております。

今後も、皆さまの積極的なご参加、ご支援をお願いします。

本イベントに関するお問合わせ

三菱総合研究所 未来共創イニシアティブ 担当:水嶋・奥野
E-mail: icf-inq@ml.mri.co.jp

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