株式会社三菱総合研究所

社会課題研究January 16, 2025SFプロトタイピング×未来の社会課題検討
ワークショップ 開催報告

社会課題リスト2025(2025年3月発行予定)制作の一環として、SFプロトタイピング研究で国内最先端を走る慶應義塾大学の大澤研究室と連携し、未来の社会課題を検討するワークショップを開催しました。(2024年12月12日)
 SFプロトタイピングとは、SF(サイエンスフィクション)のストーリーテリングやキャラクター創造などを用いて、単純な未来予測ではないSF的で自由な発想から未来像を議論・共有するための手法です。

昨今、テクノロジーの進展がめざましく、社会の様々な面に影響を与えています。身近なところでは生成AI、IOT(モノのインターネット)、5G通信などがあり、生活や仕事に効率化をもたらしています。また、社会全体が高度化すれば、複雑さも増していきます。このような社会の中で、最新テクノロジーの社会実装に起因する負の影響が発生することがもしあれば、その影響も複雑化し、対処が困難になると予測されます。 
社会実装する前に負の影響も検討して対策を講じることが重要です。負の影響も含めて包括的に考えるためには、テクノロジーがもたらす社会変化を解像度高く予測することが必須となりますが、社会の複雑さをふまえると、とても一筋縄ではいきません。 

そこで、今回のワークショップでは、SFプロトタイピングの手法を用いて、テクノロジーの進展がもたらす未来社会像と、その「負の影響(未来の社会課題)」を可視化するための思考法を体験していただきました。 

当日は22名を5グループに分け(会場3グループ、オンライン2グループ)SFプロトタイピング×未来の社会課題検討を実践しました。まず、2050年の生活を念頭に置き、参加者それぞれが興味・関心のある語句をランダムに組み合わせて、新たな独自のサービスを考案。ここでは、自分事として未来を描き、活発にストーリーテリングするために「興味・関心のあるもの(語句)」を取り上げ、それらの語句を制約なくランダムにつなげて、自由なイメージを引き出します。そうして創り出した新たなサービスの内容や、それが生み出すトラブルを具体的に考えることで、SF的想像・思考による「未来に発生するかもしれない」新たな社会課題の発見に至りました。 

参加者が考案した未来のサービス「液体ロボット」をご紹介します。このロボットは、ヒトやキャラクターの姿を自在に創り出すことができ、液体だからこそ在庫スペースの有効活用にもつながるという設定です。一方で、原料となる水が少ない地域での価格の高騰や、ディープフェイクが簡単に作成され、悪用されてしまうなどのネガティブな面もあります。また、自在に変形可能な液体ロボットが誰かに「なりすまし」、犯罪が発生する懸念も持たれました。 

このように、自由な発想で描いた未来社会像や、未来に存在するかもしれないサービス、それらが及ぼす影響や価値を多面的、具体的に検討し、多様な参加者同士でコミュニケーションしながら、共有することが本ワークショップの目指すところです。 

さらに自分事としてとらえた未来のシナリオ作成からインスピレーションを得て、未来の社会課題解決に向けた取り組みにつなげることができれば、ICF活動のさらなる進化につながるでしょう。 

参加者からは「未来創造の楽しさと難しさを体感できた」「未来の社会課題に関するイメージがわいてきた」などのご感想をいただきました。  

開催日時2024年12月12日(木)15:30~17:45
開催場所三菱総合研究所 4階大会議室CD、オンライン
参加者22名(会場:13名、オンライン:9名)
当日プログラム
15:30 ~ 15:40オープニング
15:40 ~ 17:30SFプロトタイピングを用いたワークショップ
17:30 ~ 17:45結果共有

※未来共創イニシアティブ(https://icf.mri.co.jp/
三菱総合研究所は、多様なステークホルダーが参加するオープンイノベーションおよび共創活動を通じて、社会課題の解決・社会実装、コレクティブインパクト創出を目指す会員プラットフォーム“未来共創イニシアティブ”(Initiative for Co-creating the Future:ICF)を運営しています。

お問合せ先 
株式会社三菱総合研究所 未来共創イニシアティブ
担当:八巻、藤本、石田
E-mail: icf-inq@ml.mri.co.jp 

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