開催概要
2021年12月22日(水)15:00 -16:15(Zoom開催) 参加者 22名
(1)社会課題リスト2020年版の解説
株式会社三菱総合研究所 西日本営業本部 リージョナルビジネスグループ 研究員 北側 由香梨
(2)社会課題リスト2021年版で扱う課題の切り口
株式会社三菱総合研究所 未来共創本部 主任研究員 片岡敏彦
(3)質疑応答
議事概要
1.社会課題リスト2020年版の解説
2020年度版のモビリティ分野の5つの社会問題のうち、「交通弱者」「移動せずに移動目的を果たすニーズ増」を紹介した。
①交通弱者
・日本の地方都市では、急速な人口減少、少子高齢化が進展し、公共交通サービスの利用者が大幅に減少している。それに伴い、車の運転が困難な高齢者や障がい者の交通手段が失われ、買物・通院といった日常的な外出が制限されるケースも生じている。
・本問題に対して、新たな交通ネットワークを形成することが求められている。利用者視点での解決策の一つとして、買い物・医療等の生活者の目的に応じたモビリティを提供する「目的型MaaS」があり、AI、自動運転、シェアリング等が解決の糸口となる。
・交通事業者としては、社会環境の変化に応じて柔軟なサービスを提供することが事業継続のポイントとなり、以下のような工夫が求められる。
◇ブロックチェーン技術を活用したチケットのデジタル化による業務効率化・運営コスト削減
◇廃線になった鉄道路線をバス高速輸送システム(BRT)や次世代都市交通システム(ART)として活用
◇路線バス・鉄道・タクシーなどで貨客混載を実施
②移動せずに移動目的を果たすニーズ増題
・新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴う移動の自粛・制限措置によって、「移動」を伴わずに目的を達成する手段が模索された。その中で、事業者としては、非接触・非対面というニーズに対応した新ビジネスの創出や高付加価値化が求められている。
・一部の小売・飲食業では、ロボットを接客で活用する動きもみられたが、今後は、テレイグジスタンス技術(人間が感覚や身体機能をロボットと同期させ、リアルタイムに遠隔にあるものを操作する技術)など、さらに高度な技術の導入が期待されている。
2.社会課題リスト2021年版で扱う課題の切り口
2021年版リストで扱う予定の課題として、「自動車中心の交通システムがもたらす負の効用」「需要増加に対する物流処理能力不足」「生活の質を高める行動機会の提供」を紹介した。
3.質問、感想
解説終了後の代表的な質問・感想は以下のとおり。
・交通事業者としては、リアルの価値をいかに高めていくかがポイントになる。その中でオープンイノベーションで、他の事業者と共創していくことがますます重要になると思う。
・解決の方向性として、交通弱者にデジタル技術を活用してもらうことが示されているが、高齢者は、交通だけでなくデジタル技術においても弱者となる可能性があるのではないか。
・都市部での移動や、観光地等で、超小型のパーソナルモビリティを今後一層普及させることが望ましい。国交省では、脱炭素という視点でグリーンスローモビリティの推進を図っている。
・都市部と過疎地域で、交通対策のアプローチは異なる。地方では、デジタル技術を使えない生活者も多い。社会実装に向けての実証実験を行い、利便性を感じてもらうことがまず必要と考える。
お知らせ
・社会課題リスト解説セミナー
今回で、社会課題リスト解説セミナーは終了となります。ご参加いただきありがとうございました。
・社会課題リスト解説動画
社会課題リストに掲載された各社会問題について解説する動画を公開しています。下記のページをご参照ください(会員限定)。
保護中: 社会課題リスト解説動画(ウェルネス)【会員限定】|未来共創イニシアティブ~プラチナ社会を実現~ (mri.co.jp)