株式会社三菱総合研究所

April 15, 2024MRI DEMO DAY 2024イベントレポート(ICF & BAP Activities)

#3 ICF & BAP Activities

Sustineriとの共創活動
「サステナブルな取り組みが正しく評価される世界へ」

Sustineri株式会社 執行役員 事業推進グループ長 岩﨑 佐代子 氏
Sustineri株式会社 Susport建設 事業責任者 砂田 滋弘 氏
株式会社三菱総合研究所 エネルギー・サステナビリティ事業本部 永村 知之

 
Sustineri(株) 岩﨑氏
(株)三菱総合研究所 永村
Sustineri(株) 砂田氏

岩﨑:Sustineriは、企業や個人が環境に優しい選択を取りやすくすることを目指しています。具体的には、CO2排出量削減のための情報開示と算定・削減方法の提供に取り組んでいます。
現在はeコマースやトラベル領域でのソリューション提供や、カーボンクレジットの活用促進、建築物の排出量可視化ツールSusport建設を開発中です。これらのプロダクトのシナジーを生かし、獲得した知見を基に多業種に展開していきます。

永村:三菱総研の推計によると、2050年に向けてカーボンニュートラルを実現するには、技術革新が重要ですが、それまでの排出量を抑えるためには行動変容が鍵となります。この行動変容こそが脱炭素社会における「選択」であり、Sustineriの掲げるビジョンと重なる重要な点だと考えています。

砂田:Susport建設は、建物の建築工事におけるCO2排出量を自動算定するツールです。国内外で算定の義務化や指針作成の動きがある中、Susport建設は、エンボディドカーボン(建てるときのCO2)に着目しています。将来的にはホールライフカーボン(耐用年数での二酸化炭素排出量)の算定と低炭素建築への寄与を目指し、低炭素化に向けたプラットフォームとして成長することを考えています。
現在のSusport建設は、自然言語処理を用いて各社の見積書から建材や工法を読み取り、CO2排出量を可視化。手動では数ヶ月かかる作業を数分で完了でき、効率化にも繋がります。これを当たり前の選択肢にしていただくことを目指しています。

グランドグリーンとの共創活動
「激変する環境に対応する未来の植物を、スピーディーな種苗開発で実現」

グランドグリーン株式会社 COO 諏佐 啓太 氏
株式会社三菱総合研究所 ビジネスコンサルティング本部 松元 英信

 
(株)三菱総合研究所 松元
グランドグリーン(株) 諏佐氏

松元:2050年までに世界人口は1.2倍に増加し、食料需要は1.3倍になると推定されています。一方で、日本の個人農家を中心とした生産者は減少し、生産額も50%以上減少すると見込まれています。また、気候変動による温暖化で作物の平均収量が減少し、生産に適さない土地での農業による環境影響も考慮する必要があります。
これらの課題に対し、ゲノム編集は生産性向上と環境負荷削減による持続可能な食料生産体制の構築のソリューションの1つと考えられています。

諏佐:グランドグリーンでは、ゲノム編集などの先端バイオテクノロジーを用いた作物の品種改良に取り組んでいます。品種改良は人類の歴史と共にあります。しかし、従来の品種改良では、1つの品種を作るのに約10年かかると言われています。我々は、接ぎ木技術やゲノム編集技術を活用し、その期間を3年以内に縮めることを目指します。
ゲノム編集は、植物が持つ遺伝子を人為的に切断して変異を促す手法で、近年、事業化しやすい環境が整いつつあります。グランドグリーンでは幅広い作物に適用できるゲノム編集技術について、商用化まで一気通貫のサービスを提供。すでに10品目以上、30品種以上での成功実績があります。
共創事例として、寒さに強い耐寒性トマトによるエネルギー使用量削減や、未利用資源の活用としてバイオ燃料用作物の品種改良に取り組んでいます。現在、20以上のプロジェクトが進行中です。

Wrtn Technologies/ハタプロとの共創活動
「麻布台商店街で生成AIを用いた社会課題解決」

Wrtn Technologies, Inc ゼネラルマネージャー 増田 良平 氏
株式会社ハタプロ 代表取締役 伊澤 諒太 氏
株式会社三菱総合研究所 コーポレートベンチャリング本部 中村 京春

 
(株)三菱総合研究所 中村
Wrtn Technologies 増田氏
(株)ハタプロ 伊澤氏

中村:ハタプロの伊澤さんは、麻布台商店街の会長でもあります。この麻布台商店街をスタートアップが実証や広域展開の準備を行うインキュベーションフィールドにしようとしています。
また、三菱総研は、社会課題の研究や社会的インパクトの観点から、事業化支援や事業戦略のブラッシュアップ支援を行います。
そして、リートンテクノロジーは、生成AI関連のスタートアップです。
この3社が共創し、生成AIを用いて社会課題の解決策を麻布台商店街で実証していくという活動を進めています。

伊澤:ハタプロは、AI、IoT、ロボットなどの最先端テクノロジーを活用したプロジェクトを行い、大企業との連携に強みを持っています。
私は麻布台商店街会長も務めていますが、この商店街は発信力の高いエリアです。産官学街の連携で様々なプロジェクトを行う予定です。
麻布台商店街イノベーションハブを設置し、スタートアップや大企業の新規事業と商店、町会、自治会が共同で世界的なイノベーションを生み出す特区の形成を目指しています。

増田:リートンは2021年に韓国のソウルで創業した生成AIのスタートアップです。
今回、ハタプロ、三菱総研、リートンの3社で取り組むのは、麻布台商店街での実証実験です。商店街のありたい姿を描き、商店街の若手の方々を対象にMRIから問題解決のマインドセットやレクチャーを提供し、リートンが具体的な課題解決ツールの実装を担当します。目標は、地域で生成AIを活用できる人材を育成すること。実証で得られた知見を生成AIソーシャルなどで共有・検討し、ポジティブな結果が得られれば、さらなる広域展開を目指します。

ICF & BAP Activities 総括

株式会社三菱総合研究所 事業基盤部門統括室 未来共創グループ 加藤 美季

三菱総研は、スタートアップとの共創で社会課題解決型ビジネスの創出に取り組んでいます。
より良いビジネスにするために日々ブラッシュアップ活動を行っており、その中で最も重要なのがインパクトストーリーの再確認です。
再確認の際には、目指す未来と短中長期で達成したいインパクトKPIの可視化を行い、短期のインパクトKPIは売上数値との連動を意識しています。
また、短期のマネタイズを実現しながらも、より大きなインパクトを生み出すための戦術と戦略を策定することが必要です。
インパクト達成のためのステークホルダーの洗い出しと、行動変容させる顧客の特定も重要です。
さらに、インパクト最大化のために組むべきパートナーの洗い出しを行うこと、つまり、最終消費者であるインパクト受益者の便益を最大化できるパートナーの組み合わせを設計することが重要だと考えています。
これらの取り組みは、コレクティブインパクト達成への近道だと捉えます。

  • ICF and BAP Activities動画(後半)
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本件に関するお問い合わせ

(株)三菱総合研究所 未来共創イニシアティブ MRI DEMO DAY 2024事務局 担当:八巻・加藤
E-mail:mri_demoday2024@ml.mri.co.jp

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