株式会社三菱総合研究所

April 15, 2024MRI DEMO DAY 2024イベントレポート(ICF & BAP Activities)

#3 ICF & BAP Activities

株式会社三菱総合研究所 事業基盤部門統括室 未来共創グループ 加藤 美季

 
(株)三菱総合研究所 加藤

BAP(Business Acceleration Program)は、ICFが着目した社会課題に対して、スタートアップから解決策を募集するプログラムです。BAP2023では過去最高の208件、うち海外からは50件の応募がありました。国内外で社会課題解決型プログラムへの関心が高まっていることがわかります。
BAPは、募集から書類・オンライン審査、メンタリング、最終審査、共創活動までの一連のプロセスを経て、スタートアップと三菱総研やICF会員企業との共創を促進。共同研究、顧客への共同提案、新機能開発、新事業開発、コンソーシアム構築の、5つのパターンで共創活動を行っています。
共創活動を行う際には、三菱総研・ICFとスタートアップが連携することで、より大きなインパクトが生まれるテーマを対象に据えています。私たちは、このような視点を持ちながら共創事業の創出に取り組んでいるのです。
それでは、7チームの共創成果を発表いたします。

tayoとの共創活動
「多様な人材コラボレーションによるイノベーション創出に向けて」

株式会社tayo 代表取締役 熊谷 洋平 氏
株式会社三菱総合研究所 人材・キャリア事業本部 山野内 雄哉

 
(株)三菱総合研究所 山野内
(株)tayo 熊谷氏

山野内:現在、日本の労働市場では、創造的タスクを担う人材が全体の4分の1程度と欧米に比べて少なく、今後、定型的タスクがAIに代替されることで、定型的タスクを担う人材が余り、創造的タスクを担う人材が不足するという人材需給ギャップが生じる懸念があります。
この課題の解決策として、定型的タスクを担う人材を創造的タスクにシフトさせるリスキリングと、労働市場の外にいる人材を創造的タスクに取り込むという2つの選択肢があります。
弊社ではすでに、定型的タスクを担っていた人材を創造的タスク(特に新事業開発)を担う人材としてリスキルしながら、新事業開発そのものを支援するサービス「新事業開発コンシェルジュ」(※1)と、労働市場の外にいるアスリートの力を企業で活用することを促進する「アスリートFLAP支援サービス(アスリートサポートラボ)」(※2)を提供しています。
今回の共創により、これらのサービスをさらに発展させ、社会課題の解決を目指します。

熊谷:tayoは、日本唯一の研究者向けビジネスSNSを運営しており、国内外の100以上の研究機関から1500名以上の研究者が実名で登録しています。
日本の研究開発投資額は世界4位ですが、イノベーション能力は世界21位にとどまります。この状況を打開するには、アカデミアの研究者という未開拓のイノベーション人材プールを活用する必要があります。研究者は特定の専門領域に特化していると思われがちですが、実際には、先行事例の調査や予算申請、チームマネジメント、論文作成など、多岐にわたる経験とスキルを持っています。
tayoでは現在、スタートアップへの人材紹介をメインにビジネスを展開しています。
今後はMRIと共創し、社会進出を望む研究者とイノベーションを必要とする企業をマッチングすることで、研究を社会実装する新しい形を作っていきます。

※1:新規事業開発コンシェルジュ(https://www.mri.co.jp/service/practical-trainer-platform.html
※2:アスリートFLAP支援サービス(https://www.mri.co.jp/service/athlete-flap-support.html

SWAT Mobility Japanとの共創活動
「世界一のルーティングアルゴリズムによる自由で最適な移動の実現」

SWAT Mobility Japan株式会社 代表取締役 末廣 将志 氏
株式会社三菱総合研究所 モビリティ・通信事業本部 福井 啓太

 
(株)三菱総合研究所 福井
SWAT Mobility Japan(株) 末廣氏

福井:現在、コロナ禍もあって、公共交通機関の利用者数は減少しています。例えばこの30年でバスの利用者数は都市部で2割減、地方部では半減しており、タクシーも同様の状況であることを、ご存知でしょうか。経営面でも、都市部の3割、地方の9割のバス事業者が赤字であり、バスドライバーの高齢化も進んでいます。
この課題を解決するには、限られた供給を需要に最適にマッチングさせる必要があります。しかし、需要と供給のミスマッチを可視化することすら難しいのが実状です。
SWAT Mobility Japanは、この課題を解決するソリューションを提供しています。

末廣:SWAT Mobilityは、シンガポール初のモビリティスタートアップで、世界一のルート計算アルゴリズムを持っています。このアルゴリズムにより、少ない車両台数で多くの人や物を効率的に輸送できるため、地方の公共交通維持の課題を解決できると考えています。
すでに世界7カ国、日本でも50以上の地域でサービスを導入、交通網の最適化・効率化を実現しています。
具体的な事例としては、北九州市の利用者減少に対する運行便の最適化提案、三鷹市の移動不便地域へのオンデマンド交通サービスの提供、白馬村の夜間インバウンド観光客向け送迎サービスなどがあります。
また、飲食・学校・病院など、移動して着いた先のサービスと連携することで、移動の利便性をさらに高められると考え、他社との連携を積極的に進めています。
最終的なゴールは、需要と供給が常に最適化された世界の実現です。人も物も同じプラットフォームで最適に輸送できる社会を目指しています。

ジオクリエイツとの共創活動
「高齢化時代における災害対策~火災に備えるAI・VRソリューション~」

株式会社ジオクリエイツ 代表取締役 本田 司 氏
株式会社三菱総合研究所 公共コンサルティング本部 中村 一成

 
(株)三菱総合研究所 中村
(株)ジオクリエイツ 本田氏

中村:現在、年間約3万6000件の火災が発生しています。そのうち住宅火災が3割を占め、火災死者の約7割が高齢者。高齢者は感覚や身体機能の衰えにより、火災発見の遅れや初期消火の失敗、避難の遅れなどが原因で被害に遭いやすくなっています。
高齢化社会の進展に伴い、火災被害の増加と社会的負担の増大が懸念されます。そこで、ICTを活用した新しい火災対策を提案し、火災被害の半減を目指します。
具体的には、従来のアナログな対応からAI・VRを活用した新しいソリューションを提供していきます。

本田:ジオクリエイツは、AI・VRの両輪で事業を展開しています。建築VRの分野で10年以上の実績があり、国内外の都市計画や超高層ビルなどに対応してきました。今後は、データ蓄積に重点を置き、レジリエントな社会基盤のツール構築を目指します。
今回の共創活動では、バーチャルアプリを開発し、視線や脳波といった空間体験データを取得します。これらのデータは、不動産や小売の領域ですでに事業展開しており、東京消防庁とAI防火防災診断アプリの共同開発も進めています。
また、バーチャル避難訓練ツールは、PCやタブレット端末から参加可能で、多人数での実施事例があります。バーチャル空間内での火災再現や、避難経路の探索などが可能です。商業施設や都市モデルでの避難訓練も実施されています。
取得したデータからAIを用いた防火防災診断アプリを、MRI、東京消防庁と開発中です。社会全体の火災被害と負担の軽減を目指します。

Earable Neuroscience Inc.との共創活動
「ENHANCE SLEEP AND UNLEASH HUMAN POTENTIALS」

Earable Neuroscience Inc. Chief Growth Officer Kimi Doan 氏
株式会社三菱総合研究所 海外事業本部 山口 将太
株式会社三菱総合研究所 ハノイ駐在員事務所 Nguyen Thanh Huyen

 
左から(株)三菱総合研究所 山口、Nguyen 
Earable Neuroscience Kimi氏

山口:日本では、平均睡眠時間が6時間に満たない成人が約4割。不眠や睡眠不足は健康リスクを高め、生産性低下による経済損失にもつながります。企業の健康経営の取り組みは進むものの、食事や運動に比べると、睡眠については社員への啓発や睡眠の測定の取り組みは行われているものの、実際に社員の睡眠改善のための直接的な介入には至っていません。

Nguyen:ベトナムのスリープテックスタートアップであるEarable Neuroscience社は、ユーザーの睡眠状態をリアルタイムかつ正確に測定し、その状態に合わせて最適なオーディオコンテンツを提供することで眠りを改善する、FREZ Brainbandを開発しました(写真:登壇者が頭部に着用)。睡眠状態の測定とフィードバックをリアルタイム且つ同時におこなえるえる点が画期的であり、日本や世界の睡眠問題の解決に大きく貢献することが期待されます。

Kimi:FRENZ Brainbandは、CEOタム氏によるコロラド大学とオックスフォード大学での長年の研究成果と多数の特許に基づいて開発された、より良い睡眠を提供するためのベッドバンド型ウェアラブルデバイスです。これはユーザーの睡眠の状態をリアルタイムに計測し、個人の睡眠の状態に合わせてオーディオセラピーを提供する唯一のコンシューマーデバイスです。400人以上を対象とした臨床試験で、医療機関で実施されるものと同等精度での睡眠計測と、ユーザーの入眠時間の平均24分の短縮を実証しています。
我々の製品は不眠に悩む方や高齢者の睡眠課題の解決に貢献できると考えています。ぜひ日本でも製薬・ヘルスケア企業、高齢者ケア・介護関連企業、ホスピタリティ業界の企業の皆さまと連携したいと考えています。

  • ICF and BAP Activities動画(前半)
    ※本サイトに掲載された情報を下記で使用することを禁止します
     複製、改変、アップロード、掲示、送信、頒布、ライセンス、販売、出版等

本件に関するお問い合わせ

(株)三菱総合研究所 未来共創イニシアティブ MRI DEMO DAY 2024事務局 担当:八巻・加藤
E-mail:mri_demoday2024@ml.mri.co.jp

  • Twitter
  • Facebook