株式会社三菱総合研究所

総会・セミナーAugust 22, 2025第8回 ICFオンライン座談会 「更年期クライシス」 開催レポート

2025年6月24日、「更年期クライシス」と題してオンライン座談会を開催いたしました。

※本座談会のアーカイブ動画はICF会員限定で配信をしております。こちらをご覧ください。

プログラム

15:00~15:05オープニング(ICF推進オフィスより)
15:05~15:15男女更年期社会課題紹介
手塚 美幸 氏(株式会社カランドリエ 代表取締役社長)
15:15~15:40男女更年期知識(事前質問回答)/男女更年期事例紹介
小林 智美 氏(株式会社カランドリエ 産業保健師)
15:40~15:45質疑応答
15:45~16:00参加者ディスカッション

座談会内容

第8回オンライン座談会では、株式会社カランドリエの手塚様と小林様をお招きして男女の更年期をテーマにお話しいただきました。

更年期離職は女性の9.4%、男性の7.8%で発生しており、それによる経済損失は推計で年間約6,300億円です。更年期症状を認識している人のうち、仕事への影響を感じている人は、男女合わせて約100万人にものぼります。

女性の更年期に対する認知は進んでおり、ほぼ100%の人が知っていますが、周囲の理解不足を感じている人は約半数。女性の健康に対する企業のサポートもあまり進んでいないと認識されています。男性は症状を感じている人自体は少なく、8割以上の人は自身の更年期を考えたことがないのですが、約10%の人は更年期症状で受診したり自身が更年期症状ではないかと疑っています。

「更年期」は本来女性の閉経前後(50歳前後)の約10年間を指す言葉です。この時期、男女とも、ホルモンバランスが変化するため、人によっては生活に影響を及ぼすような重い健康影響が出ます。それが更年期障害です。個人差が大きく、ほとんど症状がない人から離職してしまうほどの影響がある人まで、さまざまです。ホルモン療法や漢方薬など、治療の手段も増えてきており、気になる場合は女性は婦人科、男性は泌尿器科に相談してみるのが良いでしょう。

【論点1】 症状を正しく認識することの重要性
女性の更年期症状については広く知られるようになって来ましたが、初期の症状によっては自身が更年期と思わず、まず内科に相談するなど、正しい治療に結びつくのに時間がかかる人もいます。また、男性の更年期症状はまだまだ認知度が低く、メンタル面で影響が出ることが多く、初期にかかった心療内科で処方される薬がホルモンバランスの乱れには悪影響を与えるようなこともあるそうです。速やかに正しい治療に結びつくためにも、自身の年代で起こりうる体の変化について、よく知ることが重要です。

【論点2】 「更年期」は単なる年齢
「更年期」と聞くとネガティブなイメージが先に立つかもしれません。ただ、本来は単なる年齢のことで人間に当然起こる経年変化です。自分がこれまで頑張って年を重ねてきた結果でもあるので、否定せずに自分の体の変化を当然起こるものとして、まず受け入れる姿勢になれると良いのではないでしょうか。

【論点3】 症状の個人差と相互理解の重要性
症状の個人差が非常に大きく、自身や両親などの経験だけで判断するのはやめましょう。また、よく知られた症状以外に、人によってさまざまな種類の症状があります。自身の経験だけで他の人の症状を決めつけず、多様性があることを理解しましょう。

今回も、あっという間の1時間でした。
一定認知は進んだようで、まだまだ知らないことばかりの更年期。誰にでも起こりうることなので、自分のことも周囲の人のことも、まずは受け止めてお互いを思いやり、理解しあう社会を作って行けると良いなと思いました。

本イベントに関するお問い合わせ

三菱総合研究所 未来共創イニシアティブ推進オフィス 担当:濱田・石田
E-mail: icf-inq@ml.mri.co.jp

  • Twitter
  • Facebook