開催概要
2021年11月26日(金)15:30 -16:45(Zoom開催) 参加者 17名
(1)社会課題リスト2020年版の解説
株式会社三菱総合研究所 未来共創本部 研究員 玉川絵里
(2)社会課題リスト2021年版で扱う課題の切り口
株式会社三菱総合研究所 未来共創本部 研究員 玉川絵里
(3)質疑応答
議事概要
1.社会課題リスト2020年版の解説
2020年度版の教育・人財育成分野の4つの社会問題のうち、「リカレント教育の機会が不足」「情報の氾濫と偏りがもたらす諸問題」を紹介した。
①「リカレント教育の機会が不足」について
・人生100年時代となり、学校で学び、社会で働き、引退して余生を過ごす、という画一的な人生設計から多様な人生設計へのシフトが求められている。加えて、AI等の普及により、キャリアの途中でスキルチェンジが求められるケースが増えると予想される。
・しかしながら、わが国の25歳以上の「学士」課程への入学者数は2.5%とOECD平均(16.6%)を大きく下回る。社会人の61.4%が、現在の仕事もしくは今後就く可能性がある仕事に関連する知識・スキル・経験を蓄積・向上するために「学びたい」・「どちらかと言えば学びたい」と回答しているものの、実現できていない人が多い状況にある。
・この背景の一つとして、身につけるべき資質・能力を習得して実践するための受講しやすい教育プログラムが少ないという課題がある。大学や専門学校に加え、民間の教育研修事業者による、体系的な知識・スキルを学べる教育プログラムが必要といえる。
②「情報の氾濫と偏りがもたらす諸問題」について
・インターネット上でユーザーが見る情報は、閲覧履歴や位置情報等の個人情報に従ってフィルタリングされる。このような最適化アルゴリズムによってユーザーが見たい情報ばかり見えてしまう現象を「フィルターバブル」と呼び、情報の多様性が不足することが問題視されている。
・さらに、自分と同じ意見の人々ばかりのコミュニティ内でコミュニケーションを繰り返すことにより、自分の意見が増幅・強化される「エコーチェンバー」という現象も懸念されている。実際、米国においては、トランプ大統領がマスクをしないと公言したことで、共和党支持者と民主党支持者のマスク着用率の格差が生じるという現象が起きている。
・こうした社会問題に対応して、学校が子供に対してフィルターバブルの存在や仕組みを教え、親に対してもインターネットの安全教育を行う取組みを推進する事例や、企業が思想の異なる人同士をオンラインだけでなくオフラインで対面する機会を提供する事例も出現している。
2.社会課題リスト2021年版で扱う課題の切り口
2021年版リストで扱う予定の新規課題として、「人材の多様性不足」「心理的安全性」「職のミスマッチ」が紹介された。
3.質問、感想
解説終了後の代表的な質問・感想を以下紹介する。
<フィルターバブル>
・各自が問題意識を持つためにも、自分がフィルタバブルの中にいることを可視化できると良い。
・テレビ離れが進み、ネットでの情報収集で十分という若者も多くなっている。
・他方、既存メディアも発信者ごとの特徴・偏りがあり、フィルターバブルは、ネットだけの問題ではないかもしれない。
<人材の多様性不足>
・ダイバーシティは、CSRではなく、戦略的に、企業にとって価値のあるものという考えが浸透できると良い。
<心理的安全性>
・心理的安全性を維持するために、よそ者を排除する同調圧力が高まることがある。その場合、心理的安全性と多様性を両立させることが難しくなる。
今後の予定
・次回の社会課題リスト解説セミナー
第5回 モビリティ 12月22日(水) 15:00~16:15 ※終了後ネットワーキングを実施
・社会課題リスト解説動画
社会課題リストに掲載された各社会問題について解説する動画を公開しています。下記のページをご参照ください(会員限定)。
保護中: 社会課題リスト解説動画(ウェルネス)【会員限定】|未来共創イニシアティブ~プラチナ社会を実現~ (mri.co.jp)
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