株式会社三菱総合研究所

未来共創プロジェクトJuly 18, 2025ICFロボット研究会 #1 ~ロボットが変える未来の働き方~ 開催レポート

2025年6月25日、ICFロボット研究会の初回イベントとして「ロボットが変える未来の働き方」をテーマとしたイベントを開催しました。

本イベントのアーカイブ動画はICF会員限定で配信をしております。こちらをご覧ください。

イベント内容

ICFロボット研究会#1では、ICF推進オフィスからのオープニングトークののち、株式会社電通総研の渋谷様にご登壇いただき、ロボットの新市場開拓を通じた、社会課題解決の取組についてご紹介いただきました。

ICFでは、2025年4月に「ICFロボット研究会」を立ち上げました。
本研究会では、ロボットのような先端技術の飛躍的な進化を考慮し、その不確実な未来予測に適したSF思考を活用することで、ロボットの新市場創造を目指します。様々な産業(特に農業や施設管理)が直面する深刻な人手不足と、サービス品質や働き手の意欲・やりがいの向上に貢献したいと考えています。

研究会の具体的な技術領域としては、社会課題を解決して私たちの生活や社会に大きなインパクトを与える科学的な発見や革新的な技術であるディープテックに注目しています。ソフトロボットや触覚センサー・触覚ディスプレイ・生成AI等、ロボットに関連するディープテック新市場の姿を探り、ICF会員の皆さまの新規事業開発に繋げていただくことを期待しています。

なお、本研究会の立ち上げに合わせて、ICFディープテックコラムの連載を開始しました。本コラムでは、ロボットをはじめとするディープテックで実現できる未来社会を描きます。初回は触覚センサーとロボットの融合に着目して、未来の建物(清掃)の姿について構想しています。ぜひご一読ください。

株式会社電通総研は、創業50年を迎えるIT企業です。昨年「電通国際情報サービス」から社名変更するとともに、コンサルティングやシンクタンク機能を拡充し、企業と社会のさまざまな課題の調査・提言からテクノロジーによる解決までを実現しています。同社のOpen Innovationラボは、400件以上のプロジェクト実績を有し、先端技術を活用した社会課題解決に積極的に取り組んでいます。

数ある先端技術のなかでも特にロボットは、動くこと・動かすこと(=駆動系)に価値があると考えます。例えば、過去に実証実験を行ったリハビリテーション業務の支援(器具の運搬・消毒等)。リハビリテーションを受ける人が移動することなく、遠隔オペレーターがロボットを操作することにより、リハビリテーションを実現する環境を作りました。そのほか、ビルのメンテナンス作業等においても、ロボットによる自動化で労働力不足の解消や、危険作業の代替などが実現されています。

また、大手ゼネコンをはじめとする企業と協業し、遠隔就労研究会を立ち上げました。さまざまな産業における遠隔就労への期待と課題を把握し、ルールメイキングやビジネスモデルの確立を目指しています。これまでに3回のイベントを開催し、人手不足が深刻化しており、物理的な制約や負荷が大きな製造業や農業における遠隔就労・遠隔ロボットの姿について、企業や大学の方々から話を聞いています。本研究会では、今後、誰もが能力を最大限発揮できる社会づくりに積極的に貢献していきたいと考えます。

なお、今後のロボットの進化の方向性を考察し、ディープテック(特に触力覚センサーやAIエージェント)とロボットの融合を期待しています。例えば近い将来、触覚データを学習したAIを搭載したロボットが普及する可能性があると思います。

【動く植栽のアイデア】

  • 動く植栽は、つい眺めてしまう水槽のなかを泳ぐ魚のように、リラックス効果が期待されます。
  • 植栽等を動かすことで、オフィスにおける緑視率を最適化するなど、人が最もパフォーマンスを発揮できる、パーソナライズされた環境(温度や湿度などの制御を含む)の提供も実現できます。

【遠隔操作のレイテンシー(遅延)の課題】

  • ロボットの移動にはデータ転送や処理における遅延時間が生じ、特に旋回時にこの課題が発生します。遅延時間が生じることは、金銭的な損失や事故にもつながる可能性があり、技術保証する制度も必要です。
  • 停電への対策や、通信における画像圧縮技術などもレイテンシー課題解決には重要となります。

【遠隔就労研究会の注目領域と技術】

  • 固定的な領域や、特定の業界はなく、幅広い領域・業界を視野に入れて活動しています。
  • 役割としてフィールド(ロボットが稼働する現場)とソリューションとオペレーターという整理をしており、課題を持つフィールド事業者(建設現場、農家など)と、ITソリューションや画像圧縮技術を持つソリューション事業者、就労困難者や高齢者を抱えるオペレーターが共同で活動しています。

【ロボットへの期待】

  • 「労働力不足等の問題を解決し、状況や特性に関わらず、誰もが生まれ持った能力を最大限発揮できるような社会を推進している。」人手不足だから単純にロボット導入しようという話ではなく、ロボットを最適な形で導入することにより、現在は労働機会に恵まれない方の就労を支援し、誰もが能力を発揮できるような社会を実現できることが強く期待されています。

【ロボット導入への課題】

  • 専門性の高い作業をすべてロボットに置き換えることは困難です。費用対効果を考慮し、まずは高負荷だが単純な作業(リハビリテーション現場における器具や小物の運搬等)からロボットに任せることが重要です。

【先端技術とロボットの融合】

  • ロボットを「より器用にする」ためには触力覚センサーが、ロボットを「より複雑なタスクを」「より抽象的な指示で」動かすにはAIエージェントとロボットの融合が必要です。先端技術とロボットをうまく融合させることにより、ロボットが専門的な作業を代替することも可能になるでしょう。

【動くロボットの新たな意味】

  • 「身の回りに動くものが溢れる家で暮らすことで、孤独や不安を感じない健やかな賑やかさが生まれる。」ロボットが実用的な役割を担うことと同じくらい、人を精神的に支え、心強くすることも期待できることが分かりました。

プログラム

12:00~12:20オープニング、ICFロボット研究会の紹介
12:20~12:45取組事例共有
株式会社電通総研 渋谷 謙吾 氏
12:45~12:55フリーディスカッション・質疑応答
12:55~13:00クロージング、ICFロボット研究会の今後の予定

本イベントに関するお問い合わせ

三菱総合研究所 未来共創イニシアティブ 担当:山田・水嶋
E-mail: icf-inq@ml.mri.co.jp

  • Twitter
  • Facebook