株式会社三菱総合研究所

インパクト起業家ストーリーAugust 03, 2022#18 社内の”変革”を伴走サポート。「AI」「DX」「GX」など、新たな技術や概念をいち早くビジネスの現場にインストールし、次世代の産業創出を加速させる(株式会社アイデミー)

株式会社アイデミー 代表取締役執行役員 社長CEO 石川 聡彦 氏

企業や研究の場など、さまざまなシーンで機械学習やAIの活用が期待されています。しかし、個々の現場では機械学習について学んだりAIをうまく使いこなしたりすることへのハードルは依然として高い状態です。この課題に立ち向かう東京大学発のスタートアップ、株式会社アイデミーの代表取締役執行役員 社長CEO、石川聡彦(あきひこ)氏にお話を伺いました。

株式会社アイデミー
代表取締役執行役員 社長CEO 石川 聡彦 氏

―株式会社アイデミーはどのような事業をしているのですか?

企業の、AIを中心とするDX人材育成のお手伝いや、最近注目されているグリーントランスフォーメーション(GX)(※1)に関する基礎リテラシーを高めるお手伝いをしています。

主力サービスは「Aidemy Business」というデジタル人材育成プラットフォームです。クラウド、IoT、AIなどいろいろなデジタルのテーマを扱った145以上のコンテンツを提供しています。契約していただくと使い放題になり、興味関心に沿って自由に学んでいただく形です。

累計350法人以上、フォーチュン・グローバル500(※2)選出の日本企業の7割のクライアントに使われており、法人向けオンラインDX人材育成サービス受講者数としてはNo.1です(※3)。

―なぜ、このような事業に取り組もうと思われたのでしょうか。

工学部の都市工学科出身で、2017年に水道工学の研究室を卒業したのですが、研究室では機械学習を使って水処理の制御のプロセスを最適化するという研究をしていました。

そのときに感じたのが、機械学習を学ぶことのハードルの高さでした。研究室の教授、先輩、同期は水に関しては専門家ですが、機械学習やプログラミングについては詳しくない。このような状況が、今後ありとあらゆる分野の研究現場で起こるのではないかと考えました。

―eラーニングサービスの形にした理由とは?

もともと教えることに興味があり、中学生のときから学校の先生になりたいと思っていたのです。「教えることをしたい」と「ビジネスを形にしたい」の両方を掛け合わせ、アイデミーを起業しました。

ビジネスに興味を持ったのは、歌舞伎の子役をしていて伝統的な価値観の世界で活動してきたことが影響しているかもしれません。反動というか、新しい挑戦をしたいという気持ちが強く、気づいたら学生起業をして今に至ります。

―「Aidemy Business」の特徴を教えてください。

人材育成という形ではありますが、育った人材によって実際にプロジェクトを成功させてもらうことを目指しています。我々はただの”教えたがり”ではなく、活用してもらって初めて結果になると思っています。

―どう活用してもらうのでしょう?

出所:株式会社アイデミー

「Aidemy Business」によって育った人材と、当社側のコンサルタントやエンジニアなどの人材とが共同でプロジェクトを作っていく「Modeloy」というサービスがあります。工場でのAI活用や外観検査モデルの開発支援、既存システムと連携するエッジシステムなどがプロジェクト例です。

いわゆるDXベンダーなどはこれまでも存在していましたが、「人材育成」「テーマ選定」「試作品開発」「実運用」などの工程で分断されていました。一気通貫型のAIベンチャーも出てきていますが、お客様の関与が限定的で社内に知見が残らないという課題があったかと思います。

―この課題を解決できるのが「Aidemy Business」と「Modeloy」ということでしょうか?

成し遂げていきたいのは、まずは人材育成というところからお客様をエンパワーメントし、テーマ選定から実運用までを、お客様側の育った人材と当社の人材とで共にプロジェクトを進めていくことなのです。社内でイニシアチブを持ってもらい、AIやDXを活用する体制を構築していこうというアプローチです。

―そのほか、グリーン(GX)へも取り組んでいらっしゃるということでした。

お客様の熱量として、DXというデジタルを使った変革だけではなく、環境に配慮した研究活動や製品づくりをしていかねばといった、サステナビリティやカーボンニュートラルへの興味関心のパラダイムシフトを感じています。

グリーンに関する部分でもトランスフォーメーション、変革を必要とされるお客様が多いと認識しています。その変革をお手伝いするパートナーとしてサービスを提供していくつもりです。

―どのようなサービスを予定していますか?

「カーボンニュートラル」「GHG Protocol」「サーキュラーエコノミー」「GX×デジタル化」などの教材の開発のローンチをしているところです。

デジタル化と同様、グリーン領域も全社が一丸となって取り組む必要があります。専門部隊や経営企画や総務といった位置付けの人たちだけでなく、全員とは言わなくても、全ての職種で1人ずつくらいはリーダー候補を見つけていかなければ社内は動かないのではないでしょうか。

経営企画やサステナビリティ部門主導で始まっているグリーンに関する取り組みを、事業部が強化していくことをお手伝いしていきたいと思っています。

―具体的にはどうお手伝いしていけそうでしょうか?

グリーンの領域ではよく「サプライヤーエンゲージメント」(※4)と言われていますが、サプライヤーに対して働きかけをするのと同じぐらい、社内へのエンゲージメントを高めることも大事なのではないかと。

たとえば、「Aidemy Business」を使うと専門的な分野まで自主的に学習した層を見つけられるのがユニークな点です。それぞれの会社の受講ログを見ると、だいたい10人に1人くらい、会社が指定したコースを超えて主体的に学習する方が現れてきます。

―エンゲージメントの高い人材が見つかると。

そもそも、我々が提供しているコンテンツの内容は、セキュリティ研修のような全員必須で受講するようなものとは異なります。「Aidemy Business」を導入すると、社員の半分はちゃんとやりますが、そうでない人も半分くらいは出てきます。

ここで「やらない人にどうやらせるか」より、やった人、つまり興味関心を持って自主的に学習した人を取り組みのメインのリーダーに任命されてはどうでしょうか、という提案をよくします。

また、まだサービスローンチされていませんが、サプライヤーエンゲージメントのデジタル化にも新規事業的に取り組んでおります。

―外部との連携状況はいかがでしょうか。

東大発のスタートアップということで、アカデミアの知見をクライアントに還元するような仕組みを作っていきたいと思っています。産学連携に関心の強い、「サステナビリティ」「ロボット×AI」「工学リテラシー」のそれぞれを専門とする東京大学の先生3名をアドバイザーに迎え、サービスの改善に努めています。

また、出資に関しては、東大系のベンチャーキャピタルやダイキン工業様、古河電工様、KDDI様、テクノプロ様からいただいております。

3日間限定ではありますが、DX関連の講座でもトライアルも実施しています。ご興味関心がございましたら、ウェブサイトからぜひお申し込みいただければ幸いです。

※1「GX」…グリーントランスフォーメーションの略。企業が排出する温室効果ガスなどの原料を再生可能エネルギーや脱炭素ガスに置き換えるなど、先端技術によって環境問題を解決し、社会経済の変革や持続可能な社会を実現しようとする取り組み。
※2「フォーチュン・グローバル500」…フォーチュン誌が年に1度発表する、世界中の企業の総収益をランキング付けするもの。世界企業番付。
※3「法人向けオンラインDX人材育成サービス受講者数No.1」…2021年6月3日〜2021年7月26日のJDLA E資格認定講座所持企業 18社の提供する有料法人受講者数(累計)。ESP総研調べ
※4「サプライヤーエンゲージメント」…企業や自治体の活動による環境への影響を情報開示するプラットフォーム「CDP」が年に一度行う、企業の環境への取り組みの調査において、特に気候変動課題に関するサプライヤーとの協働について評価するもの。

社名:株式会社アイデミー
創立:2014年6月
従業員数:93人
主な事業内容:AIを中心とするDX人材育成のためのデジタル人材育成プラットフォーム「Aidemy Business」の提供、Python特化型オンラインプログラミングスクール「Aidemy Premium」の提供、プロジェクトの企画から運用までを一気通貫で支援する“プロジェクト伴走型”支援サービス「Modeloy」の提供
URL:https://aidemy.co.jp

本稿は、ICF会員として、社会課題解決のために共に活動するベンチャー企業を紹介するシリーズ記事です。

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